野沢菜漬け  信州の風物詩

 残念なことに、伝統的な郷土の技術が軽視され、失われ始めているが、そのようななか、全国に名高い奥信濃の味である野沢菜漬けを私たちは手作りで漬けてみることにした。材料は野沢菜と塩とりんごだけである。簡単なので作ってみてはいかがだろうか。

1 野沢菜について

野沢菜漬けは信州特産として全国に知られ、そして本場の野沢菜は奥信濃独特の気象条件の中で育ち、茎が太くて繊維が少なく甘味があり、かぶも大きくやわらかさも格別で収穫時期には出荷も盛んで、親戚・知人を頼って遠方から注文が殺到する。

野沢菜とは健命寺八代住職が京都の八王子かぶの種を持ち帰って植えたところ違った形のかぶ菜ができそれを系統選抜してよいものを育てたのが、今の野沢菜だといわれている。

温暖な西国育ちの八王寺かぶは野沢温泉の気候や風土によって特産「野沢菜」に生まれ変わった。

周りの山が白くなり、みぞれ模様の雨が降り出すといっせいにお菜とりがはじまり、畑につまれた野沢菜のみずみずしい緑とエプロン姿の「お菜洗い」はこの地方の風物詩である。

 漬物というと塩分が多く、健康に悪いと敬遠される方も多いようだが、野沢菜にはがん予防に効果があると言われているビタミンCやビタミンB2、カルシウムが豊富に含まれている上に食物繊維も多く含まれている。

2 漬け方

(1) 洗浄したりんごの皮を剥いて切るが、大きれではないほうがよく、二つ割りにして1cmほどの薄切りにする。

(2) 野沢菜を丁寧に洗い、樽に菜をならべては薄切りにした、りんごと塩をふり入れながらりんごを交互に積み重ねる。

(3) 重石を載せ、水があがるのを待ち、重石をとる。

(4) たっぷり漬け込まれた野沢菜は「べっこう色」に漬かり食べごろになる。(野沢菜漬けのことを地元ではおはづけという)

(5) つけ方は家々によって伝統・秘訣があり、おはづけをつけるようになれば、一家の主婦として認められたことを意味し、「霜降り」の塩加減が上手に受け継がれていく。