ねずみ大根について

1.ねずみ大根の特徴

(1)由来、特徴

紀元は1713年頃、尾張徳川家に献上されたと言われている。名前の由来は「ねずみ」に似た形、学名「ネズミノオ」からきている。

長野県内の坂城町では町の特産品として有名であるが、現在では、栽培する人が減少し、貴重な大根である。

肉質は緻密で硬く、舌触りが良好で、適度な辛みがあり、長期保存用の漬け大根として優れている。信州の大根は丸い葉が一般的であるが、この大根は京菜のような細いギザギザとした切れ葉である。

(2)味

辛味成分「イソチオシアネート」は、普通の大根の2倍近く含まれている。
デンプン質が多いので、甘味も強く、糖分は普通の大根の2〜3倍である。
歯ごたえがあり、「たくあん」にも適している。
煮ると辛味が甘味に変わる。

イソチオシアネート:DNAを守る酵素の働きを促す。発がん物質を阻害し、解毒作用によって発がん性を抑える

2.坂城町の取り組み

(1)品種

 長年自家採種を繰り返してきたことにより、品種特有の形状や大きさなどが乱れてきたことから、H10年からF1化の取り組みがなされてきたところであるが、平成13年3月にねずみ大根のF1化が図られ、「辛ねずみ」として品種登録出願中である。

(2)種の保存方法

 F1種子については、系統選抜された種子を関係機関の協力を得ながら固定化し、隔離して保存・育種している。

 それ以外は、従来から行われているように、地域や個人が自家採種による種の保存・栽培をしている。

F1種子:異なる品種を人為的に交配させ、その両方の形質を兼ね備えた最初の子どもである種のこと。

(3)ねずみ大根振興への取り組み

 町内のねずみ大根振興協議会を中心に、町、農協、農業改良普及センター、野菜花試験場が協力し、「ねずみ大根!!パワーアップツアー」と題した収穫体験やたくわん漬けなどのイベントを開催するなど、積極的な取り組みをしている。

今年の取り組みとしてはそれ以外に、野菜の里づくりとしてねずみ大根を含めた他の品目の栽培も振興すべく、施策を展開しているところである。

3.栽培記録

9月17日に耕起(石灰、肥料を土と混和する)と整地((うね)(はば)60cm、株間20cm、畝の高さ10cm)と種蒔(15cmおきに5粒ずつ)をした。

種蒔後は、追肥(10日に1回)10月中旬までし、本葉が4〜5枚になるまで間引いて1本立ちにした。

12月3日に収穫した。

注意することは辛味を出させるためには肥料を抑え、乾燥気味にして、ウイルスに弱いので予防としてアブラムシ防除に努め、高温期の播種は避けることである。